文系修士女の就活ブログ

文系大学院生(女・19卒)が就活していて思ったことを書きます。何かの参考になれば。

研究者になれなかった自分へ、いや、なれなかった自分へ

内定式を終えたタイミングで、民間企業への就職が決まった、と指導してもらっている先生に話したときのことを書きます。

 

どんな企業?と聞かれて、

歴史学とは関係の無い出版社なんですけど、

という言葉が口をついて出たのはなぜだろう。

なんでだかわからないけど、話しているとき、ばーっと涙があふれてきた。

 

・うまく成果が出ないこと、成果が出るには時間がかかりそうなこと

・研究分野特有の難しさ(研究内容的にも就職的にも)

 

たぶん、先生は、このような理由で私が研究を続けられないと判断したと考えているだろう。

でも、私がやめた理由の根本はそこではない。と今さら思うようになった。

 

理由は3つある。

1つは、自分は何かを絶えず選び続けることが苦手で、ある程度先が見通せた状態で研究をしたいと思った。

2つめは、「こうしなければ」「こうじゃないとダメだ」という気持ちが強くなりすぎた。研究対象との関わり方が変わりつつあり、それがとても怖かった。

3つめは、これは私の進む道じゃない、と思ったから。とにかくそう思ったとしか言いようがない。お金も人間関係もいろいろ不自由させない生活を保障するから、研究を続けよう!と、もし神様が私にオファーしてくださったとしても、断ってしまうかな。

 

2年間で変わってしまいました、自分の考えが。とくに深刻なのは理由3。

初めは、留学もしてみたかったし、できるだけ海外に行っていろんなものを見たかった。

でも、1か月にも満たない期間ではあるが、海外で勉強してみて考えが変わった。あとは、実際に研究者コミュニティに参加してみたことも大きい。

学問って、自分が思っているよりも完璧ではなく、あいまいで、言われていること全てがひっくりかえる可能性に満ちあふれていて、一言で言うと何だろう、曖昧すぎるのだ。

だけど、権威のようなものがあって、一般の人は先生のありがた~いお話を聞くものだという世の中の一般的な構図に???となる。

数回しか現地に行ったことがない研究者と、仕事の合間にスキをみつけては2泊3日の滞在を繰り返すサラリーマン。

対象へ学術的な分析をする研究者と、対象へのありったけの情熱をもったパフォーマー

何かを極める方法は1つではない。お金になるかどうか、周囲からの需要があるかないかという問題はあるけど、極め方に貴賤はないと思う。

 

この2年間で得たものは何なんだろう?

仕事を進める上で、自分がダメな点がよくわかったかなと思う。あと、少し鬱っぽくなってしまったときの立ち直り方とか。年齢の異なるの人との人間関係も多少。あと外国語がほんの少しできるようになった。研究者のコミュニティに顔を出し、自分の意見を表明したり、人の意見に質問したりした。

 

論文も書いた。論文を1つも書かない人が多い研究室の中で、自分からチャンスを捕まえにいった。けっこう頑張ったほうだと自分でも思う。人と比べることは難しいが、1年ちょっとで、だいぶ読みやすいものが書けるようになったし、論文に対するそもそもの意識も良い方向に変わったと思う。好きなことや個人的な思い入れが強いものに対しても、冷静に、自分以外の人にどうわかってもらえるか説得の方法を考えることの練習ばかりだった。

 

でも、修士課程は、プロではない。博士課程に行かないと、研究職に就けないと、お金になる仕事はふつう回ってこない。

 

自分と同じ世代の人や、もっと若い人が、海外に軽々と飛び出して、

「その人にしかできない仕事」

を獲得しているのをみると、

ワァーっと叫びたいような苦しい気持ちになる。

破天荒に生きる人への憧れで脳内が占領される。

 

しかし、考えようによってはある意味、この決断も破天荒かもしれない。

うちの研究室では、研究関連の職業や教師にならないことは、異常なのであるから。

そして、これから働く場所で、この専門をじっくり学んだ人は他にはいない。

かなり、個性的な人材である。

 

これからの目標は、自分で人生を何とかすることである。そして次に、個性的なだけではなく、役立つ人材になる。

会社だけでなく、細くてもいいから、はみ出してみる。

自分は人生がどうなったら嬉しいのか、今はもやっとしているところも多いので、少しでもピンときたことをやってみる。継続をしてみる。没頭できるものがいつか手に入る。

 

今やっていること、これからやることが全て、いつかめぐりめぐってくるものだと。

今後に繋がると信じて。

 

会社での仕事にも、替えがきく仕事はないと思って取り組む。

大学院をはなれることはめちゃくちゃ寂しいが、就職したくないわけではなく、むしろ正反対で、ものすごくワクワクしている。どんな人たちと会えるのだろう、自分の仕事がどんな人に届くのだろう。いや、考えるだけでにやけそう。

 

とりあえず今やるべきことを後悔しないようにやりたい。自分が納得できるものをつくろう。